読んでない方向けにあらすじを書くと、ホテルで殺人が起きるかもしれないから刑事がホテルマンに成りすまして犯人探すお話です。
んで、刑事がホテルの人に仕事教わっていくのもこの本のおもしろいところで、そこらへんのビジネス書読むよりよっぽど接客とは何かみたいなことがわかったりします。
僕もバイトだけど1ヶ月ぐらいホテルで働いてたことがあって、あったあったと思いながら読んでいました。
相当取材したことがわかるし、ホテルの裏側覗くだけでも面白い一冊です。
ホテルの仕事を教えてくれるホテルの人と刑事という一見どうにもマッチしないような二人を非常にうまく描いていて、コンビものとしても十分読めます。
この二人のやり取りが面白くて3回読んだぐらいなので、未読の人が今から読むか読まないかでいうと間違いなく読んだほうがいいと思います。
文庫まで待ってもいいかもしれませんが、たぶんこの作品映像化されるんで、キャストとかの固定概念ない前に読んでおいたほうがいいっていうのはありますね。
というわけでこっから先ネタバレです。
トリック
と、いうようなことは特になかったですね。
終盤に来て、今まで出てきた中の誰が犯人か探すゲームのような本でしたし、物理的なトリックでないことはわかっていましたが少し物足りなかったといえば物足りなかったです。
犯人は優しそうなおばあさんっていう意外と言えば意外なんだけど、アンフェアといえばアンフェアという感想を持ちました。
あと、ホテルの話と外での話がバラバラすぎて若干リズム悪かったし、掴みにくいところも結構ありました。
動機
東野圭吾のミステリーは動機が結構意味不明なのが多くて、この作品も「刑事もホテルマンもどこで誰に恨まれてるかわからない」みたいなことが強調されてて、あー大した動機じゃないんだろうなと思っていたらやっぱり人を殺すほどの動機ではありませんでした。
東野圭吾の作風の変化
僕は3年ぐらい東野圭吾の作品を全くよんでなくて、本書が復活の一冊だったのですが、こういう人情っぽい感じに寄った作品が増えたんですかね。
これはこれでありなんだけど、もっとミステリーミステリーしたのが読みたい気もします。
あと、ラスト見るとなんか変わったなと思いました。
たぶん最後の能勢の気遣い、前の東野圭吾なら登場人物に説明させなかったんじゃないですかね。
もしこれが編集による「これじゃ読者わかんないっすよ」みたいなことで、読者が広がりすぎた故のアレなんだったら非常に残念です。
ラストの「グラスに東京の夜景が映った」みたいなクサイのもやらないような。
まあグダグダ微妙なとこ書いたけど東野作品は他のクウォリティが高いから気になるだけで普通に楽しめました。